バリ島「Galungan lan Kuningan(ウク暦迎え盆・送り盆」Memo Bali

Rahajeng nyanggra rahina jagat Galungan lan Kuningan warsa 2023,
Dumogi iraga sami ngemanggihin kerahayuan lan kerahajengan.

2023年ガルンガンとクニンガンおめでとうございます
すべての存在が繁栄と安全を手に入れられますように

・・・

近年バリ州知事および州政府により「バリ語の使用」を推奨されているため、宗教関連の看板や横断幕などはインドネシア語でなくバリ語表記が増えましたね。
国際空港のアナウンスもバリ語→インドネシア語→英語の順ですし。

ガルンガン・クニンガンとは?

すでにご存じの方も多いと思いつつ、改めておさらいしましょう。

バリヒンドゥー暦

バリヒンドゥー教のカレンダーには、サコ(Caka)とウク(Wuku/Pawukon)という2つの暦が存在します。

◆サコ暦

サコ暦は古代ヒンドゥー教のカレンダーに由来し、月の満ち欠けを基にした太陰暦です。
西暦(グレゴリオ暦)と同じく12ヶ月ですが、各月(sasih)30日未満のため、1年およそ354~355日。
主な宗教行事は、新年のニュピ(Nyepi:静寂日)と新月・満月などです。
バリ人は語尾のaがoになるためサコに近い発音ですね。

◆ウク暦

ウク(パウコン)暦は稲刈りの伝統サイクルに従って生まれたと言われ、210日を1年としています。
210日を30週に分割し、1週7日、5週の35日で1ヶ月、6ヶ月で210日の1年(7日×5週×6ヶ月=210日で1年)。
この第11週の水曜日がガルンガン、その10日後の土曜日がクニンガンです。
主な宗教行事は、上記のほか、サラスワティ(Saraswati:学問・芸能を司る女神の日)、パガルウェシ(Pagarwesi:世界の調和が守られるよう祈る日)などがあります。

ウクは行事だけでなく、「特定の週に生まれた人は同じような性格や運命を持つ」と考えられ、星占いに近い感覚で信じられています。
下記サイトに生年月日を入力すると、簡単な性格診断ができます。

・Babad Bali(インドネシア語/バリ語):Wewaran / Pewarigaan(相続・系統)

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ガルンガン(Galungan)

神話に起源を持ち、アダルマ(Adharma:悪=マヤデナワ王)に対してダルマ(Dharma:善=インドラ卿)が勝った、善が悪に勝利した日とされています。この10日間にすべての神々が地上に降りてきてお祭りに参加し、さらに先祖や亡くなった親族の霊が家を訪ねて戻ってくると信じられています。
彼らを歓迎するためにさまざまな儀式が行われ、お供え物が捧げられます。また、ご先祖が戻る目印としてペンジョール(Penjor:竹飾り)を各家の入り口の右側に設置します。

◆ガルンガンのスケジュール

  • 3日前:プニェケバン―お供え用のバナナの調理(覆いをする日、準備開始)
  • 2日前:プニャジャアン―お供え用のお菓子作り(内省の日)
  • 前日:プナンパハン―豚や鶏を使って料理、食す(儀式的な屠殺日)
  • 当日:ガルンガン―正装を着用し、家族と寺院でお祈り(先祖や血統を思い出す日)
  • 翌日:マニス・ガルンガン―他の地域に住んでいる大家族の訪問や観光など(お出かけの日)

女性陣の多くは数日前からお供えやお菓子作りに追われています。朝晩作って、昼間は仕事、さらに家事に育児という方も多いかと。男性陣も仕事しつつ、ペンジョールを作ったり、豚料理を作ったり、当日は寺院の警備、家族を乗せて移動など。
Bali=Banyak Libur(休みが多い)と揶揄されますが、休みの日に宗教対応してたら休みなしやんけ!いやはや、ヒンドゥー教徒のパワーとエネルギーを感じますわ。

◆ガルンガン当日の寺巡り

ガルンガン当日は正装を着用して、家族や親族と寺院でお祈りを捧げます。
これ、地域や各家によって異なるかもしれませんが、朝からスタンプラリーのごとく複数の祠や寺院を巡るんですよね。うちは義実家内の家寺(サンガ)→本家の家寺(クムラン:先祖霊のある寺)→一族の寺(プムラジャン)→高台の寺→平地の寺→海側の寺…。お供えものを1度に持ちきれないので、いったん戻って再出発、みたいな。

以前どこかで書いたとおり、宗教行事に参加する際は「疲れた」とか「面倒」などと言ってはいけないそうです。神に仕える喜びを存分に味わいましょう。いや、マジで疲r(以下省略)。

◆ガルンガンの聖地

ガルンガンはそれぞれ地元の寺院を巡りますが、かつて善悪の戦いはギャニャール県タンパクシリンで終止符が打たれたと言われています。タンパクシリンには聖水で有名なティルタウンプル寺院があります。

クニンガン(Kuningan)

神話によると、ガルンガンの戦いで悪のマヤデナワ王は敗れたものの、仮死状態から再び魔力を発動しないか確信を得るため待機しました。10日目に勝利宣言が出され、”発表”と”黄色”の2つの意味を持つ「クニンガン」と名付けられました。
この日は最高神サンヒャンウィディがすべての人々に祝福を与えるために地上に降臨すると信じられています。また、儀式の締めくくりとして神々とすべての先祖が自分たちの領域に戻るとされています。

◆クニンガンのスケジュール

  • 当日(ガルンガンから10日後):クニンガン―黄色い正装を身に着けて、祈り、捧げものをする。ナシクニンを食す(魂が天へ戻る日)
  • 翌日(ガルンガンから11日後):マニス・クニンガン―故郷で家族や友人と過ごす(お祝いの日)

◆クニンガンの聖地

クニンガンはデンパサール南部スランガン島にあるサケナン寺院で大きな祭典が行われます。島中から教徒が集まり、神聖な奉納舞踊や儀式が行われます。

今年以降の日程

ガルンガン・クニンガンは210日周期のため、簡単に算出できます。
Windowsに搭載された電卓内の「日付の計算」が便利です。

ガルンガン(水曜)クニンガン(土曜)
2023年8月2日8月12日
2024年2月28日3月9日
9月25日10月5日
2025年4月23日5月3日
11月19日11月29日
2026年6月17日6月27日
2027年1月13日1月23日
8月11日8月21日

日本のカレンダーに照らし合わせると、2024年は春休み、2025年はGW、2027年はまたお盆休みとかぶりそうですね。

【参考文献】
・インドネシア観光省(英語):バリ島のガルンガンとクニンガンの宗教祭
・NOW!BALI(英語):バリ島で最も重要な儀式、ガルンガンの物語 第14話
・BaliSpirit(英語):ガルンガンとクニンガン

オダラン・ウパチャラのシーズン

オダラン(Odalan:寺院建立祭)はバリカレンダーにそって行われます。
サコ暦新年ニュピの次の満月から新月にかけて総本山ブサキ寺院やバトゥール寺院など。
ウク暦のガルンガン前からクニンガンにかけても”良いとされる日”が多く、島内あちこちの寺院で行われます。ウブドはクニンガン前後が多いんですよね。若干地域差があるようです。
市販のバリカレンダー(バンバンおじさんなど)の紙面にオダラン日程が記載されています。
※パイセンのタレコミにより、アパ情報センターにオダラン(寺院祭礼)スケジュールが掲載されていることが判明しました!ご参考にどうぞ。

また、乾季はポトンギギ(成人として歯を削る儀式)やムニカ(結婚式)、ガベン(火葬式)などウパチャラ(Upacara:祭事)が多く執り行われます。

一族で死者が出た場合”スチ(Suci:神聖)ではない”とされるため、一定期間お供えできなかったり、お祭りに参加できなかったりします。このあたり、詳しくわからないんですが、うちは親族から連絡があって「○日までお供え控えて」などと言われます。

カルヨアグン

オダランの中でも特に大きなものをカルヨ(Karya:儀式)、さらに盛大なものをカルヨアグン(Karya Agung:大きな儀式)と呼びます。
バリ人は語尾のaがoなので、カルヤではなくカルヨですね。

オダランはバリカレンダーにそって毎年行われますが、10年・20年・30年・50年・100年周期の節目でより盛大に開催されます。毎年やりつつ、10年目は大きく、20年目はより大きく、みたいな。50年目や100年目は人生で1度しか参加できない確率が高いため、その寺院の信徒は全身全霊で役割を全うします。
50年に参加した方に伺ったところ「参加できて本当に良かった。ただもう1回やると言われたら…」と(笑)普段弱音を吐かないタイプなので相当大変だったのでしょう。
ちなみに、日程はプダンダ(Pedanda:高位祭司)が決めるため、きっちり○年目ではなく数年前後したり、開催しなかったりするんですって。

今年はコロナ禍を経て、カルヨがあちこちで行われています。”良いとされる日”と合致したのでしょう。
気のせいか、プラダレム(Pura Dalem:死の寺院)での開催が多いような。そういう年回り?

◆クロボカンカジャも大祭中

うちの近所(スーパーティアラガツ近く)のプラダレムも大きなオダラン中です。
「ガルンガンにしては2週間以上前からペンジョール立って早いな~」と思ったら違いました。

バリ島「Galungan lan Kuningan(ウク暦迎え盆・送り盆」Memo Bali
バリ島「Galungan lan Kuningan(ウク暦迎え盆・送り盆」Memo Bali

ペンジョールがずらりと並ぶ姿は荘厳!風に揺れて美しくなびいています。
お祭りにともなって交通量の多いJl. Raya Kerobokanが頻繁に閉鎖。おかげで迂回する周辺道路は大渋滞です。が、オダランですからね。

この時期の営業は?

お盆に渡バリ予定の友達から「ガルンガンとクニンガンってどんな感じ?お店は休み?」と聞かれました。

◆バリ系ワルン

ガルンガンはバリ系ワルンほぼ全滅、99%閉まってます。閉店期間は店舗によって異なり、地元民であれば水曜のみ、もしくは火~木曜の3日程度。地方民だと月~金の5日間とか。
特に観光地と新興住宅街は、出稼ぎの地方民がほぼ帰省してしまうためガラーン。おかげで道は空いてて渋滞せずスムーズに移動できます。

クニンガンは土曜1日のみ、もしくは金~日曜の3日間程度。あまり長く休むお店は少ないかと。

◆他島系ワルン

開いてますが、空いてます。
バリ人客が帰省で来ないため休業もちらほら。うちの近所はわりと閉まってました。びっくり。

◆ホテル・レストラン・スーパー・観光地

ほぼ通常通り営業しています。バリ人スタッフはガルンガンとクニンガンで半々ずつ出勤、イスラムやキリストや仏教徒もいます。ただ出勤者が少なくなるのでサービスが手薄になったり、時間かかったりする可能性はあります。「そういうものだ」と諦めましょう。

個人的なスタンス

いろいろ書いておきながら、あてくしは”ほぼ何もしない嫁”です(爆)
いやね、ちゃんとやるべきか一瞬悩んだんですよ、一瞬。でも仕事しながらすべてこなすのは難しい…無理です!

踊りの先生に相談したら、「もちろんやれることはやったほうが良い。バリ人女性はみんなやってる。でもお供え物など無理に作らなくても、今は買える。買うことでその売り子の生活も成り立つ。win-win。大切なのは、祈る気持ち、感謝する気持ち、神に仕える気持ち。これはほかの人に代わってもらうことはできないから」と。
それを聞いて以来、チャナン等は行きつけのお供え物屋さんで張り切って買ってます。たくさん作ってすごいなーとリスペクトしていたら、「お金に感謝する日はもうすぐだよ」とか「動物の日が近いよ」とか「この日はコレを祀るといいよ」などと教えてくれるようになりました。バリ人同士は知ってて当然なので、あまり教えてくれないんですよね。知らないことすら知らない。

参拝のために義実家へ帰省するのは楽しいし好きです♪いまだに観光客気分。
あちらがどう思っているかわかりませんが、どう思われてようが「楽しそうだな」という気持ちが伝わればOKとしています。普通に接してくれてるのでたぶん問題ないかと。
しょせん外国人ですからね。どっぷり溶け込んで同じようにはできないです。もちろんキチンとなさってる方は尊敬します!今後も出来る範囲でやっていこうと思います。お互い、過剰な期待はせず、諦めつつ。あははー。

では、ごきげんよう。

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