
Rahajeng Rahina Galungan lan Kuningan.
Dumogi sami polih kerahayuan ring rahina becik puniki.
ガルンガンとクニンガン(バリヒンドゥー教お盆)、おめでとうございます
この素晴らしい日に私たち皆に安全と繁栄が与えられますように
先日ウパチャラニカー(結婚式)にお呼ばれしまして。
上記の写真は結婚式でお会いしたバリ仮面舞踊マエストロといわれるジマット氏の娘さんたち。左が第4子のクトゥッさん、右が第2子で新婦の母のマデさん。
マデさんの旦那様で新婦の父がガムランの師匠コップリンさんです。そう、新婦はジマット氏の孫娘にあたります。
その数日後、ウブドの練習場ポンドッペカッのオダラン(寺院建立祭)で奉納演奏にお邪魔しました。たくさん叩き間違えて本気でお邪魔に?!
さらにその数日後、北部テジャクラ地区のポンジョバトゥ寺院をサコ暦の年1回のオダランで参拝しました。毎年この日は大混雑。ジェロアン(奥の院)へ入る門が狭いため通勤ラッシュの山手線並みに信徒が殺到します(埼京線ほどではない)。
えぇ、すべてバリヒンドゥー教の正装(伝統衣装)着用です。
かつて「女性はクバヤを着てカマンを巻けば色柄問わずOK」という自由度でしたが、ここ数年はインドネシア・ヒンドゥー教協会(PHDI)の通達や、都市部を中心とした各デサの奥方規制により、島内全域でルール化されつつあります。微妙な着こなしだと、「それはちょっと…」と指摘されることも。田舎の義実家でさえも!
地域やカスタ(階級)によっても差があります。
すべてを把握できているわけではなく、周りに確認しながらの個人調べです。
参加する際は、関係者に事前確認することを強くオススメします。
基本の基
観光客
旅行目的で渡航して、観光名所のブサキ寺院・ウルワツ寺院・タナロット寺院・タマンアユン寺院・ティルタウンプル寺院などを訪れる際は、バリヒンドゥー教の正装は不要です。
観光客が入れるエリアは一般的にチャンディブンタル(割れ門)まで。その先は入れたとしても、寺院内のジャボ(外庭)やワンティラン(集会所)です。
「露出が多い服は神様に失礼」という理由で、上衣は肩やお腹が出ないもの、下衣は膝が出ないものが好まれます。
着脱できる薄手のシャツやカーディガンなどを持っていくと便利です。
膝が出るミニスカートやショートパンツの場合はサロン(腰布)を貸してくれるので、今穿いてるものの上から巻いてください(寺院によっては膝下でも全員着用)。
バリヒンドゥー教徒同伴なら、神聖なエリアとされる寺院内のジャボトゥンガー(中庭)やジェロアン(奥の院)に入れます。その際は正装必須です!
なお、2023年5月31日付でバリ州知事より「外国人観光客に対する新たな秩序の通達(12義務・8禁止事項)」が発出されています。
全文は在デンパサール日本国総領事館のリンクをご覧ください。
・在デンパサール日本国総領事館:外国人観光客向けバリ州知事通達
バリヒンドゥー教徒の正装
先述したとおり、寺院内の神聖なエリアに入る際は、観光客でも宗教に関係なくバリヒンドゥー教の正装を着用する必要があります。
ただし、バリアガと呼ばれる孤立民族(ジャワヒンドゥー教の影響を受けなかったバリ人)の地域は、異なる伝統衣装です。
また、インドネシアの他宗教徒、たとえばイスラム教徒はヒンドゥー教徒の結婚式参列時にイスラムの正装または洋装で参列することができます。逆もしかり。
◆女性の正装
上衣は「クバヤ」、下衣は「カマン」、腰に帯紐「スレンダン」を巻きます。
Kebaya(クバヤ)
綿またはポリエステルやレーヨン(まれに麻や絹)で作られた、レースまたはガーゼ状の着衣です。
数年前までは体形に合わせたオーダーメイドが主流でしたが、近年はストレッチ素材の既製品が多く出回っています。伸縮する素材だと多少体重が増減しても着られるからマジ便利!
クバヤに透け感があるため、インナーにはビスチェやコルセットのような胸からお腹まである「ロントルソ」または「アンケン」、もしくはブラジャーにゴムの腰帯「ステップレス」を付けます。
「ロントルソ」や「アンケン」は体形をカバーしてくれるので綺麗に見えますが、苦しいし、暑いです。ブラトップやキャミソールで代用可。
Kaman(カマン)
下衣のサロンやカイン、バリ語では「カマン」と呼ばれる長い布は、左前になるようにヒップラインに沿って巻きます。
腰布と書くものの、腰に沿って巻くと寸胴(円柱状)になり、”ダドン(おばあちゃん)巻き”とか”マンクー(僧侶)巻き”と呼ばれてしまいます。
若い女性は丈をやや短めにして斜度をつけて巻きます。オバハンはくるぶしが若干見える程度の長さがベター。若い子ぶって丈を短くすると「品がない」と言われます(実際言われたぜ)。
近年は巻いているように見えるスカートタイプの既製品が増えています。ウエストがゴム状で脱げにくいし、落ちにくいし、長時間でもはだけなくてラクです。
布の染めや織り方によって、バティック・イカット・ソンケットなどに分かれますが、この説明を書きだすと長くなるので割愛。
カマンは透け感がないのでインナーは自由です。
見えないとはいえノーパンはご法度。パンツだけじゃお股がスースーするのかサーフパンツなどを穿いてる方が多いです。お尻をキレイに見せたいならガードルか膝丈のレギンスがよろしいかと。
Selendang(スレンダン)
着用しているクバヤのウエストに「スレンダン」と呼ばれる帯紐を巻きます。
スレンダンの色は、カマンに使われている色のうちの1色と合わせると全体がまとまります。
巻き方にトレンドがあるようで。幅を細くしたり太くしたり、垂らす部分も短めだったり長めだったり、結び目は正面だったり斜め横だったり。おしゃれさんは留め具にもこだわっているようですね。
スカートタイプの既製品カマンには、同じ柄のスレンダンが付いてくることが多いです。それを締めればOK。
◆男性の正装
頭に巻く布が「ウドゥン」。
上衣は「サファリ」または襟付きシャツまたはTシャツ(TPOによる)。
下衣は内側に「カマン」を右前になるように、そのうえに「サブッ」をダブルで巻きます。そして帯紐「スレンダン」を巻いて出来上がり!
メンズのはよく知りません。よって説明が簡潔(笑)
ウドゥンやカマンの折り方にトレンドがあるようで、甥っ子たちは「今この形が流行りだよ」とか言ってますが、違いがさっぱりわからん。
ウドゥンはここ何年も既製品が主流。毎回折ってかぶるのは面倒ですからね。頭のサイズに合わせて選べます。
カマンは正面部分を何重かに折るんですが(サブッ巻くから見えないのに)、好みの折り方で縫い付けてくれるお店もあります。その後は巻くだけでラク。
TPOに合わせた選び方
指定ルール
デサ(村)やバンジャール(町内会)はたまた親族間などで、「今回はこの布を使って、このデザインで作ったものを着用する」と決められることがあります。同時に、髪型や髪飾りも指定されるようです。
カスタ上位や富裕層からは「こちら負担で作ったものを配布するので、それを着てください」とも。さすが!
あてくしが知る限り、15年ぐらい前にクタ・レギャンの小金持ち奥方が「私たちでお揃いの衣装を作りましょ♡」と言い出して、すぐウブドとスミニャック・クロボカンに飛び火。その後デンパサールやサヌールもそれにならい、今や都市部はほぼお揃いじゃないかと。田舎はそういうのないですけどね。
というわけで指定がある場合は従ってください。
指定範囲外=外様は下記を参考にどうぞ。
オダラン(寺院建立祭など)
サコ暦(1年およそ354~355日)やウク暦(1年210日)のサイクルにそって年1回行われるオダラン(寺院建立祭/生誕祭)では白色のクバヤを着用します。
家寺の場合は袖が短めでもお咎めなしです。
カマンの色は自由です。
奉納舞踊など特別な指定がない場合、常にカマンは白色を避けて、カラー(色物)にしてください。
一般的に、上下真っ白はプダンドゥ(高僧)またはマンクー(僧侶)が身に着ける衣装です。
髪の毛は肩についたら結ぶのが基本。だらりと下ろしたままでは神様に失礼だそうです。
足元はサンダル。おしゃれサンダルでも、ビーチサンダルでもOK。ヒールが高いものだと寺院内の段差で転ぶかも。運動靴やブーツを履いてる人は見かけたことがありません。
◆カルヨ(大祭)
オダランの中でも数年~数十年に1度行われるカルヨアグン(大祭)やドゥドナンカルヨ(死者を弔う大祭)などに参列する場合、クバヤは白色で袖が長いものを着用してください。七分や八分袖でも構いませんが、できれば長袖が好ましいです。
カマンの色は自由。あれば黄色が無難です。
でも事前に確認したほうが良いかと。これまで参列した中で、全員カマン黒!という大祭もありましたから。
心配なら明るめと暗めの2色持って行って、現地で穿き替えるという手もあります。まぁ外様なのでみんなと合わなくても文句言われないと思いますけど。
大祭では女性も頭に白いハチマキ(名前3回ぐらい聞いたけど忘れた)を巻きます。買うかもらうかして、額から後頭部にかけて横一直線につけましょう。
◆ブサキ寺院
バリヒンドゥー教総本山のブサキ寺院を参拝する際も、前項同様クバヤは白色かつ袖が長いものを着用します。
10年ぐらい前に「フィギュアスケートの衣装か!」とツッコミたくなるスケスケのデザインが流行ったことがあり、「露出が多い服は神様に失礼」という考えに基づいてルール化されました。総レースなら構いませんが、シースルー多めはNGです。
カマンの色は自由です。
ガルンガン・クニンガン(お盆)
ガルンガン・クニンガンの詳細は過去ブログをどうぞ。
◆ガルンガン(迎え盆)
かつてはガルンガンになると、カラフルでデザイン性の高いクバヤをこぞって着用してましたが、最近は白色が多めです。
そりゃスタンプラリーのごとく複数の祠や寺院を巡って祈祷と奉納となると、白が好ましいでしょう。
黄色や金色、薄いブルーやピンクなどのクバヤを着ている方も見かけます。白に近い色ならOKかと。
カマンの色は自由です。
◆クニンガン(送り盆)
クニン=黄色と名乗るだけあって、クバヤまたはカマンまたはスレンダンに黄色を取り入れる方が多いです。
全身黄色はさすがに見かけませんが(笑)
黄色に近い金色やオレンジ色も可です。
ウパチャラニカー(結婚式)
クバヤもカマンも色柄ともに自由です。袖の長さも半袖以上ならOK(ノースリーブは売ってない)。
若い女子はここぞとばかりにトレンドのデザインを着こなしています。
オダランと異なり白色クバヤが少数。最近は総レースの金色や銀色、薄いブルーやピンクなど。
カマンは短めの、スリットが入ったように見える斜め巻き。
恋人募集中なら髪の毛は結ばずおろしておくそうです。わかりやすくて良いですね。
おばちゃんたちは赤やピンク、紫が多かった気がします。えぇ、あたくしもピンクを着ました。
スレンダンはカマンやクバヤと同一カラーではなく、正反対の補色で組み合わせている方も見かけます。ピンク色×緑色とか、紫色×黄色とか。お好きにどうぞ。
男性のウドゥンやサファリも白色以外がほとんどです。黒・赤紫・紺・グレーなど。
他宗教徒の場合はワンピースなどの洋装で構いません。無理してクバヤを着る必要はないです。参列して祝う気持ちが大事。
ガベン(お葬式)
実はお葬式の参列が一番難しいんですよ。
葬式全体をプングレボン、火葬をガベンと呼びます(たぶん)。ガベンを挟んで、不浄と浄化済に分けて考えます。
◆火葬前
クバヤは暗めの色を着ます。黒・紺・茶色に加え、深紅など。赤色でも良いのかーい?! 明るい赤ではなく濃い赤な。
カマンの色は自由ですが、黄色は避けたほうが無難。クバヤ同様、紺色や茶色など渋めが良いかと。もしくは緑色や青色。
とはいえ、日本のように全身真っ黒もあまり見かけないような。
男性も同様に白色以外がほとんどです。黒・赤紫・紺・グレーなど。
◆火葬後
ガベン後は浄化された状態と考えるため、クバヤは白色または白に近い色を着用します。
カマンの色は自由です。
◆僧侶・高僧
プダンドゥ(高僧)またはマンクー(僧侶)が亡くなった場合、火葬前後にかかわらず、参列者も白色を着用するそうです。特にプダンドゥは絶対。マンクーは場合によって。
カスタ上位の方が亡くなった場合も、地域によっては同様に白色を着用だそうです。
昨年11月にウブドのイダバグース家(最高位)のお葬式に伺ったのですが、そのときガベン前は白色ではありませんでした。あとで聞いたところ、「ギャニャール県は上位ではなく僧侶かどうかで分けるパターンが多い」と。地域によってバラつきがあるんですね。うーん、難しい!
お呼ばれが多い方は、1日に結婚式やお葬式など何軒もハシゴします。ちょうどシーズンが重なるんですよね。
そのたびに衣装替えをしなくても良いのですが、お供えやお祝いは替えないといけないので、車に積んでおくか都度取りに帰るか。
近しい父系親族が亡くなった場合は火葬または土葬が終わるまで、神事のオダランなどに参加できないことがあります。忙しいシーズンでも一旦停止しなければなりません。
まぁいろいろ大変ですよね。あてくしも勉強中で、まだ全部はわかりません。あははー。
では、ごきげんよう。