前々回のブログで「マンクー(Mangku/バリヒンドゥー教の僧侶)に会って質問しまくった」てなことを書きました。
ためになる話をあれこれGETしたので、備忘録を兼ねて掲載します。

はじめに

留意点

この記事はとあるマンクーとのやりとりを、あてくしなりに解釈してまとめたものです。
一部不明瞭なところは調べて加筆しています。

”バリヒンドゥーの教えすべて”ではありません(以下バリヒンドゥー=ヒンドゥーと表記)。
他のマンクーやデサアダット(伝統村)によって見解が異なる場合がありますし、あてくしの理解力や文章力のせいで齟齬が生じる可能性もあります。
これに沿ってないからといって、どなたかを否定したり、攻撃する意図はありません。
上記を踏まえたうえで「ほほう、そうなんだ」「そういう考え方もあるのね」と読んでもらえたら嬉しいです。

全体的に宗教色が濃く、スピリチュアル寄りの内容になっています。

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とあるマンクーについて

マンクーと新たに知り合って根掘り葉掘り聞いた!…わけではありません。

20年超えの付き合いがある日本人友達のバリ人旦那様が、数年前マンクーになりまして。当初「俺、独学でやるわ~あはは」みたいな軽いノリでしたが、そう簡単になれるものでもなく。
尊敬する師に付いてロンタール(古代経典)の教えや実技を学び、島内の寺院を巡る修行の日々。今では顔つきや雰囲気まで変わり、立派なマンクーになりつつあります(本人いわく、まだ勉強中)。

ちなみにすべて日本語で伺っています。宗教用語を訳して説明するのは難しいそうな。かといってバリ語で言われてもねぇ。よってズレが生じるのは否めないかと。

目の前で話してるのに「あれ?ここにいなくない?」と感じることが数回ありました。どうもクニンガンのせい。意識が時々あちらの世界へ行ってしまったようです。すべての神々やご先祖様が地上に降りてくる=あちらと繋がる時期はこちらのエネルギーも変わるんですね。

マンクーやヒンドゥー教に関するQ&A

Q1.マンクーってどうやってなるの?

自薦と他薦がある。
代々マンクーの家系で指名される場合もあるし、なりたくて修行を始める人もいるよ。

前任者の死亡などにより、寺院に付随する神々や先祖から霊媒により任命された場合は拒否できません。自己都合で延期すると病気になったり、気づかせるサインが起こると言われています。
儀式を経て、ハリラヤ(ガルンガン・クニンガンなど)、オダラン(寺院建立祭)、ウパチャラ(祭事)時にティルタ(聖水)を扱うなどの宗教行事の勤めがあります。

ほかに、秀でた才能を認められて指名される場合や、なりたいor天からのお告げなどで目指すフリーランス=寺院付ではないマンクーもいます。その際は、たとえばバリアン(治療師)の1つになるなどの宗教的な職能があります。
どちらが上とか、どちらがエライとかはなく、それぞれのお役目があります。

Q2.マンクーとジェロマンクーの違いは?

マンクーは僧侶。
ジェロマンクーは僧侶の中でも”2つ以上の業務”を行っている人を指す。

これ、人によって見解がかなり分かれるようですね。
今回のマンクーいわく

  • マンクーには寺院内でティルタ(聖水)やグンタ(ハンドベル)を扱う本業のほか、ワヤン(影絵師)、ウサダ(治療師)、マナク(助産婦)、ツゥヌン(占い師)、タクス(霊媒師)、ツゥラン(天気をコントロールする人!)、などさまざまな業種がある。本業+αの人にジェロが付く

と。ほかに、

  • 身内が呼ぶときはマンクー、他人が呼ぶときは敬意を込めてジェロマンクー。本来は全員ジェロマンクーと呼ばれるべき
  • マンクーはカスタ(ヒンドゥー教のカースト階級)が1つ上がるのと同じ扱いだからジェロが付く。上位のカスタに嫁いだ女性がイブジェロと呼ばれるのと同じ

という説も。
総合すると「掛け持ちはすべてジェロ」かなと思いました。業務の掛け持ちもしかり、カスタの掛け持ちもしかり。

Q3.マンクーとプダンドゥって何が違うの?

プダンドゥは最高階層の高僧。
マンクーはそれ以外の出身の僧侶。

ヒンドゥー最高位にあたるブラフマ階層のイダ家の方がなるのが、高僧や宗教指導者のプダンドゥ(Pedanda)です。
ほぼ世襲で拒否することはできません。現世で一度亡くなり(亡くなったことにして)、生まれ変わってプダンドゥになると言われています。
実はイダには4~5のカテゴリーがあり、プダンドゥの中でも階級があるんですって。頭の被り物によって異なるそうな。

プダンドゥ以外の出身の僧侶をプマンクーといいます。
マンクーはプ(人を表す呼称)が付いても付かなくても良いのに、プダンドゥはダンドゥと呼びませんね、そういえば。

ハンドベルの呼び方にも違いがあり、マンクーが持つのは「グンタ」、プダンドゥが持つのは「バジュラ?(すみません、うろ覚え)」といいます。
ベルの持ち方も異なり、マンクーは人差し指と小指を伸ばして中指・薬指・親指で棒を囲みます。プダンドゥは親指を棒の先端に載せて鳴らします。「ねーねー、もし間違えて先っぽを押さえちゃったらどうするの?」と聞いたら「ダメだよ!ありえない!」と食い気味に言われました。へー。
※当初プダンダと表記していましたが、バリ語は語尾のaがoになり、プダンドゥのほうがより近いため改訂しました。

Q4.マンクーへのあいさつは?

ヒンドゥー教徒は「オム スワスティアストゥ」。
この中に「こんにちは」「元気?」「おじゃまします」など全てが入ってる。

お互いが穏やかな関係を維持し、友愛や同胞愛を確認するためのパンガンジャリ(挨拶)が「オム スワスティアストゥ(OM SWASTYASTU)」です。カスタの上下に関係なく、すべての人に使えます。
OMは神、SUは善、ASTIは存在、ASTUは希望を表し、全体を通して「神よ、善があると希望する=神の恵みによる幸運を」という意味になります。

最初と最後に言ってもいいですし、別れ際には「オム サンティ サンティ サンティ オム(OM SANTI SANTI SANTI OM)」という「三界に平和がありますように」と言ってもよろしくてよ。

Q5.マンクーにチャナンを持って行く理由は?

診察券の代わり。開始の印。
チャナンを祭壇に供えたら、ウソはご法度。

治療師や占い師に視てもらう際、「当日はチャナン(花盛りのお供え物)をお持ちください」と言われることがよくあります。一緒にドゥーパ(お線香)を求められることも。
ヒンドゥー民なら常備していると思いますが、外国人観光客はわざわざ用意するなんて面倒くさいですよねぇ。

実は、このチャナン、とーっても意味があるそうな。
開始前にマンクーが施術室の祭壇に供えたら、神に誓ったことになります。そこからウソをついてはいけなくなるんですって!また、現世の本人(たとえばワヤン、マデなど)ではなく、マンクーになって神と繋がるため、より明確に視えるようになるんだとか。

逆にいえば、友達だからとチャナンも持たず、ご飯を食べたついでに「ねーねー、ちょっとお尋ね」というのは本来NG。えぇ、あてくし今回まさにやりましたわよ。遊びに行って、食卓であれこれ聞いちゃいました。
神に誓ってないのでマンクーはウソを伝えてもお咎めなし(友達だからそんなことしないと言ってたけども)。そもそも半分しか繋がっておらず視えにくいそうです。

ちなみにチャナンは特に指定がなければ、四角いチャナンチュペールでよろしいかと。1人1個ずつ。
自分で作っても良いですし、チャナン屋やバリ系ワルン(雑貨屋)で1個から買えます。わからなければ、連れて行ってくれるバリ人ガイドに頼んでみましょう。
ムルカッ(浄化・禊ぎ)をお願いする場合は、ソカシ(カゴ)入りのバンタン(お供えもの)が必要な場合があります。このあたりは事前に確認してください。

なお、外国人客が多く訪れるマンクーはチャナンなしでもOKという場合があります。人によります。

Q6.マンクーへのお礼はチャナンに載せるの?

実は、チャナンに載せるのは硬貨のみ。
ソカシなどの奉納盛りは紙幣。

先述の診察券代わりとなるチャナンに鑑定料や診察料は載せません。あくまで開始の合図としてお渡しします。

で、あてくし知らなかったんですが(たいていのことは知らない)、チャナンに紙幣を載せてはいけないんですって。
ベストはウアンクペンと呼ばれる真ん中に四角い穴が開いた中国古銭のようなものです。なければインドネシアのルピア硬貨でも可。それもなければ載せなくて良いです。もしくは飴(だから数年前までお釣りが足りないときは飴だったのか!)。

寺院などでバンタンに載せるセサリ(奉納金・お賽銭)は紙幣のみ。金額はお気持ち(自由)です。
視てもらう場合はたいてい終了時にお渡しします。

Q7.マンクーのお役目は?

自分を消して、神と人々を繋ぐ存在かな?

いろんな考え方があると思いますが、こちらのマンクーいわく「宗教行事でお仕えする以外に、鑑定や診察のときは神とコンセントでつないで、それを伝えるお役目。たとえるならwifiみたいなもの。自分はフルでいなくなる。そこに個人の意思や感情はない。自分が知らないことも神が教えてくれるからわかる。自分のままではわからない。セミ(半分)のときはなんか重くてきつい。フルのほうがラク」と。

おぉー!言いたいこと、わかります。とってもわかります。わかりますが…あてくし、一応IT系なもんで。
「wifiって発信される電波よな?何かを飛ばしてるんかい?通信基地局と端末を仲介するのはwifiルーター。コンセントじゃなくて無線か有線のLANでつなぐ」と心の中でツッコミながらニマニマ聞いてました。マジで失礼ですよね。すみません、すみません。


長くなったので、(その2)に続きますね。
では、ごきげんよう。

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