ねぇ奥さん。
ちょっと目を離した隙に、インドネシアで新しいビザ制度が始まってますわよ。

その名も「ゴールデンビザ(Golden Visa)」。
ゴールデンという名にふさわしく、富裕層の個人投資家または会社役員、および世界基準の高度技能を持つ専門家向けです。

小市民なんぞハナから相手にしていませんの。
でも、そのうち超大金持ちや世界的な技術者の仲間入りを果たすかもしれないので、念のため把握しておきましょう。えぇ、書いてて空しくなってきました。

ゴールデンビザとは?

大きく分けて「投資家」と「専門家」の2カテゴリーあります。
さらに、サブカテゴリーとして「元インドネシア国民」と「帯同家族」。

取得すると、ビザの有効期間である最長5年または10年間、バリ島を含むインドネシアへ自由に出入りできて、好きなだけ滞在できます。
また、条件を満たしていれば入国チェックポイント到着時に電子限定滞在許可証(e-ITAS)と再入国許可(Re-Entry)を自動取得でき、シームレスに進めます(入国管理局での申請や提示不要)。

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個人投資家・会社役員向け

投資家向けは高額です。申請費用自体は他のビザと同程度ですが、資本金や投資額の設定が二度見するほど。
個人投資家だと、少なくとも35万米ドル=約5,145万円分(以下1ドル=147円として)のインドネシア国債または株への投資、あるいは会社を設立する場合は少なくとも250万米ドル=約3億6,750万円分の資本金が必要です。
会社役員にいたっては10倍の2,500万米ドル=約36億7,500万円ですって。

「お金が余って仕方ない」「日々残高が増え続けて困る」「インドネシアの将来性に大金を投じたい」というアッパークラスにとってはお得…かも?
ちなみに日本の富裕層は純金融資産1億以上5億円未満、超富裕層は5億円以上を指すそうです。下記をご参考にどうぞ。

・セゾンのくらし大研究:富裕層・準富裕層の定義とは?

高度技能を持つ専門家向け

専門家向けは出資額の規定がありません。それなら可能性あり?!とお思いになりましたか。
いわゆるグローバルな超エキスパートが対象です。インドネシア政府から招へいされる技術、政府が要求する専門分野の証明書、世界上位100大学を平均点以上で卒業した証明、いずれかがないと適用されません。

この分野でゴールデンビザを取得した第1号は、ChatGPT創設者のサミュエル・アルトマン氏。米国の人工知能研究・応用企業OpenAIのCEOですね。

・入国管理総局(以下英語/プレスリリース):ChatGPT創設者に初のゴールデンビザを発行

ゴールデンビザの概要

公布・施行

’23.9/2(土)入国管理総局シルミー・カリム局長は「8/30(水)付の”2023年第22号 ビザおよび滞在許可に関する法務・人権大臣規則”と”2023年第82号 ビザ政策に関する財務大臣規則”を基に、『ゴールデンビザ政策』を公布および施行する」と発表しました。

・入国管理総局(プレスリリース):ゴールデンビザ政策開始
・入国管理総局(インドネシア語/規則):2023年第22号 ビザおよび滞在許可に関する法務・人権大臣規則

導入の目的

個人投資家や投資企業を含むアッパークラスの資金誘致と、デジタル&テクノロジー・健康・研究など各分野における優秀な知識および影響力のある人の誘致により、インドネシアの経済発展の促進を目的としています。

背景

インドネシアは富裕層や知識人の誘致において、東南アジアの近隣諸国との厳しい競争に直面しています。
タイ、マレーシア、シンガポールではすでに有利な条件のビザがスタートしてますもんね。

・ASEAN BRIEFING(英語):インドネシア、外国投資家誘致のためゴールデンビザを導入

同様の政策は、アメリカ、カナダ、アラブ首長国連邦、アイルランド、ドイツ、イタリア、スペイン、ニュージーランドなどさまざまな先進国でも実施され、導入した多くの国でプラスの効果を生み出しているそうです。へー。

・入国管理総局:ゴールデンビザ政策開始

ゴールデンビザの種類と詳細

入国管理総局の公式サイトMONIAより抜粋しました。
ビザの仕様や条件等は予告なく変更される場合が多々あります。取得予定の方は入国管理局またはエージェント等に必ずご確認ください。

・入国管理総局(ビザ申請):MOLINA ビザ選択

投資家向け

投資家向けは3種あります。

【共通事項】

  5年有効 10年有効
滞在期間 最長5年 最長10年
申請料 Rp 13,000,000 Rp 19,500,000
更新 延長可
活動範囲
  • インドネシアでの事業および投資の実施
  • 仕事に関連した業務の実施
  • 家族の帯同(別途、要申請
優遇事項
  • 長期滞在可
  • 出入国が容易
  • 入国チェックポイント到着時点で電子限定滞在許可証(e-ITAS/ITAP)と再入国許可を自動取得
    ※e-ITAS/ITAPに加え、入国管理局でカード発行も可
  • 空港の優先検査・優先レーンの利用
提出書類
  • 残存期間6ヶ月以上の有効な外国籍パスポート
  • 5,000米ドル以上または同等の生活費の証明
  • 最新のカラー写真
必須事項
  • 入国日から90日以内に遵守状況の報告
  • 滞在中の経済的余裕の確保
  • ビザ条件と法律の遵守
発行期限
  • ビザ発行日から90日以内に使用
  • 有効期間は滞在期間と異なるため要確認
注意事項 滞在許可期間中、禁止活動の参加やビザ条件・法律の非遵守の場合、罰金・強制送還・その他 法的犯罪に問われる可能性あり

◆E28B:個人投資家(会社設立予定)

個人投資家で、インドネシアに会社設立を考えている方。

  5年有効 10年有効
条件 国際基準の会計事務所(公認会計士)による親会社の財務監査報告書を含むインドネシア国外企業の株式所有の証明
国際基準によって監査された財務諸表を含む、少なくとも2,500万米ドルある海外企業の売上高証明 国際基準によって監査された財務諸表を含む、少なくとも5,000万米ドルある海外企業の売上高証明
インドネシア入国日から90日以内に「最長5年間の滞在期間中で、少なくとも250万米ドルの発行資本金(株)または投資額を有する会社をインドネシアに設立する」という誓約書 インドネシア入国日から90日以内に「最長10年間の滞在期間中で、少なくとも500万米ドルの発行資本金(株)または投資額を有する会社をインドネシアに設立する」という誓約書

◆E28C:個人投資家(国債または株式の購入予定)

個人投資家で、インドネシアの国債またはインドネシアの企業株への投資を考えている方。

  5年有効 10年有効
条件 インドネシア入国日から90日以内に「最長5年間の滞在期間中で、35万米ドル相当のインドネシア国債、あるいはインドネシアの上場企業の株または投資信託を購入する」という誓約書 インドネシア入国日から90日以内に「最長10年間の滞在期間中で、70万米ドル相当のインドネシア国債、あるいはインドネシアの上場企業の株または投資信託の購入、もしくは100万米ドル相当の集合住宅など不動産を購入する」という誓約書

◆E28D:インドネシアで設立される会社の役員

インドネシアに設立される会社(国外の支店または子会社含む)の取締役や監査などの重役クラス。

  5年有効 10年有効
条件 国際基準によって監査された財務諸表を含む、少なくとも10万米ドルある海外企業の売上高証明
「最長5年間の滞在期間中で、少なくとも2,500千万米ドルの投資額にてインドネシアに会社を設立する」という誓約書 「最長10年間の滞在期間中で、少なくとも5,000万米ドルの投資額にてインドネシアに会社を設立する」という誓約書

専門家向け

専門家向けは2種です。

【共通事項】

  5年有効 10年有効
滞在期間 最長5年 最長10年
申請料 Rp 13,000,000 Rp 19,500,000
更新 延長可
活動範囲
  • インドネシアで専門知識を生かした事業の実施
  • インドネシアで政府と連携した活動の実施
  • 家族の帯同(別途、要申請
優遇事項
  • 長期滞在可
  • 出入国が容易
  • 入国チェックポイント到着時点で電子限定滞在許可証(e-ITAS/ITAP)と再入国許可を自動取得
    ※e-ITAS/ITAPに加え、入国管理局でカード発行も可
  • 空港の優先検査・優先レーンの利用
提出書類
  • 残存期間6ヶ月以上の有効な外国籍パスポート
  • 2,000米ドル以上または同等の生活費の証明
  • 最新のカラー写真
必須事項
  • 入国日から90日以内に遵守状況の報告
  • 滞在中の経済的余裕の確保
  • ビザ条件と法律の遵守
発行期限
  • ビザ発行日から90日以内に使用
  • 有効期間は滞在期間と異なるため要確認
注意事項 滞在許可期間中、禁止活動の参加やビザ条件・法律の非遵守の場合、罰金・強制送還・その他 法的犯罪に問われる可能性あり

◆E33A:高度技能者(インドネシア政府の招へい)

高度な専門知識を有し、インドネシア政府が招聘した方。

追加書類
  • 国からの保証証明
  • 趣旨を説明する国の政府機関からの招待状

◆E33B:高度技能者(インドネシア政府と連携予定)

高度な専門知識を有し、インドネシア政府との連携を考えている方。

追加事項 インドネシア政府の目的のために働く
追加書類
  • 入国日から90日以内に「インドネシア政府と協力する」という誓約書
  • 特別な専門知識を示す証明書:政府が要求する専門分野の証明書、または世界上位大学100校の成績平均3.5以上の卒業証書

元インドネシア国民向け

◆E32A:元インドネシア国籍の個人投資家(国債または株式の購入予定)

元インドネシア国籍の個人投資家で、インドネシアの国債またはインドネシアの企業株への投資を考えている方。
外国人より条件が若干緩めですが、5年間のみです。

  5年有効
滞在期間 最長5年
申請料 Rp 12,000,000
更新 延長可
活動範囲
  • インドネシアでの投資の実施
  • インドネシアでの居住
優遇事項
  • 長期滞在可
  • 出入国が容易
  • 入国チェックポイント到着時点で電子限定滞在許可証(e-ITAS/ITAP)と再入国許可を自動取得
    ※e-ITAS/ITAPに加え、入国管理局でカード発行も可
  • 空港の優先検査・優先レーンの利用
提出書類
  • 残存期間6ヶ月以上の有効な外国籍パスポート
  • 2,000米ドル以上または同等の生活費の証明
  • 最新のカラー写真
  • 元インドネシア国民である証明書:身分証明書、出生証明書、家族カード、インドネシア共和国のパスポート、卒業証書、住宅証明書
条件 インドネシア入国日から90日以内に「最長5年間の滞在期間中で、3.5万米ドル相当のインドネシア国債、あるいはインドネシアの上場企業の株を購入する」という誓約書
必須事項
  • 入国日から90日以内に遵守状況の報告
  • 滞在中の経済的余裕の確保
  • ビザ条件と法律の遵守
発行期限
  • ビザ発行日から90日以内に使用
  • 有効期間は滞在期間と異なるため要確認
注意事項 滞在許可期間中、禁止活動の参加やビザ条件・法律の非遵守の場合、罰金・強制送還・その他 法的犯罪に問われる可能性あり

帯同家族向け

ゴールデンビザ保有者(ITAS/ITAP)の家族として帯同する方。
一親等のみで3種です。

【共通事項】

  5年有効 10年有効
滞在期間 最長5年 最長10年
申請料 Rp 12,000,000 Rp 18,500,000
更新 延長可
活動範囲
  • インドネシアでの居住
    ※事業および投資の実施は不可
優遇事項
  • 長期滞在可
  • 出入国が容易
  • 入国チェックポイント到着時点で電子限定滞在許可証(e-ITAS/ITAP)と再入国許可を自動取得
    ※e-ITAS/ITAPに加え、入国管理局でカード発行も可
  • 空港の優先検査・優先レーンの利用
提出書類
  • 残存期間6ヶ月以上の有効な外国籍パスポート
  • 2,000米ドル以上または同等の生活費の証明
  • 最新のカラー写真
必須事項
  • 滞在中の経済的余裕の確保
  • ビザ条件と法律の遵守
発行期限
  • ビザ発行日から90日以内に使用
  • 有効期間は滞在期間と異なるため要確認
注意事項 滞在許可期間中、禁止活動の参加やビザ条件・法律の非遵守の場合、罰金・強制送還・その他 法的犯罪に問われる可能性あり

◆E31B:配偶者

法的関係のある配偶者(夫または妻)。

条件 配偶者の在留期間に準ずる(超える滞在は不可)
追加書類
  • 保証人の証明書、または配偶者の誓約書
  • 結婚証明書(英語またはインドネシア語翻訳)
  • 配偶者の有効なゴールデンビザ(ITAS/ITAP)

◆E31E:子供

法的関係のある子供、未婚の未成年者 (18歳未満)。

条件
  • 親の在留期間に準ずる(超える滞在は不可)
  • 18歳まで(超える滞在は不可)
    ※後見(障害)外国人は18歳制限を除く
追加書類
  • 保証人の証明書、または親の誓約書
  • 結婚証明書(英語またはインドネシア語翻訳)
  • 出生証明書(英語またはインドネシア語翻訳)
  • 親の有効なゴールデンビザ(ITAS/ITAP)

◆E31G:両親

法的関係のある親(血族・婚続の指定なし)。

滞在期間 1年、2年、5年、10年
条件
  • 子供の在留期間に準ずる(超える滞在は不可)
  • 被保証人となる子供は21歳以上
追加書類
  • 保証人の証明書、または子供の誓約書
  • 出生証明書(英語またはインドネシア語翻訳)
  • 子供の有効なゴールデンビザ(ITAS/ITAP)

個人的な感想

‘22.12月に発表された「セカンドホームビザ(Visa dan Izin Tinggal Terbatas Rumah Kedua)」のRp2,000,000,000(約2千万円)がとてつもなく安く感じるぐらい、一気にハードルが上がりましたね。

・入国管理総局(プレスリリース):セカンド ホームビザ開始
・入国管理総局(規則):セカンドホームビザの付与に関する回章

ただねぇ、諸国はメリットがありまくりでして。
タイではビザ保有者の所得税率を下げたり、一部免税措置、さらに土地や不動産の所有も可。
マレーシアはデジタルノマドを対象に、居住や商業用不動産の購入OK。
シンガポールでも免税措置に加え、永住権の取得を目指すことができます。
ドバイは多少の犯罪ならお目こぼしですしね。

インドネシアは長期滞在と出入国が容易になるだけ。外国人は不動産の完全所有NGですし、免税もなしです。
でも万一有事(戦争や天災など)の際に、逃避先の候補地があるのは心強いかも。安心・安全をお金で買う感じでしょうか。
あと大企業にとっては屁でもない額かしら。現地の支店長が自由に出入りできるなんて便利ですよね。

おまけ

このビザについては、NNAのメールマガジンで知りました。
インドネシアを含むアジアの注目ニュースの見出しを毎朝無料で配信してくれます(土日を除く平日)。記事の詳細は1部を除き、有料です。ニュース好きさんは登録しておくとよろしくてよ。

・NNA ASIA:投資家向けの長期滞在ビザ、根拠規定が施行
・NNA倶楽部:会員登録(無料)

では、ごきげんよう。

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