バリ島「Jepung(ジュプン)」Memo Bali

ひさしぶりにバリ島の近況を綴ります。
(その1)は天気と両替レートです。天気に絡めた時事ネタが多めです。

天気:おおむね晴れ→雨 / 気温24~32℃(体感36℃) / 湿度65%程度

日本付近は11/11から急に冬型の気圧配置となり、風が冷たく、グッと寒くなったようですね。初雪を観測した地域も多数。数日前まで半袖で過ごせたのに。みなさま、気温差で体調を崩さないようご自愛ください。

こちらバリ島も、ついに雨季突入…でしょうか?!
11/12の正午すぎにまとまった雨が降り、いったん止んで、夕方また激しい雷雨。近くに落ちたのか、ドンッと地を揺らすほどの轟音が1回ありました。

島内の複数地域で干ばつ「警戒」ステータス

バリ島は例年であれば7~8月は風が強く涼しい日が続き、9月中旬から徐々に風が弱まって暑くなり、10月からは雷が多く発生し、11月には雨の日が増えるんですけどね。

今年は9月中旬からずーっと晴れて気温の高い状態。たまに通り雨がザッと降るものの、地表を湿らす程度で、土壌が非常に乾燥しています。

バリ島「乾燥した土地」Memo Bali

BMKG(インドネシア気象気候地球物理庁)デンパサール支局は2ヶ月以上雨が降らない地域を干ばつの「警戒」ステータスに指定しました。
11/11発表の無降雨最長記録は、カランガッサム県クブ地区の131日間、ブレレン県ゲロッガク地区の125日間、同県サワン地区の124日間です。4ヶ月以上!

・BaliPost(以下インドネシア語):2ヶ月以上雨が降らず、バリ島の5地区で干ばつの警戒ステータスに / BPBDバリ、緊急警戒ステータスの延長を要請 / 雨の降らない島内のいくつかの地域に影響、131日間を記録

異常気象の原因はエルニーニョ

今年はエルニーニョの影響により、インドネシアを含む東南アジアやオーストラリア周辺の海水温が上がらず、大気の上昇気流を作り出せないため、これらの地域では降水量が減ると予測されています。さらに干ばつ、森林火災の発生しやすい状態になっています。
エルニーニョについての詳しい解説は下記をご参考にどうぞ。

・Spaceship Earth(日本語):【2023年最新】エルニーニョ現象は冬まで続く?

ランキングに参加しています。「いいね!」と思ったらクリックお願いします。

降雨量激減による悪影響

降水量の大幅な減少により、島内でさまざまな影響が出ています。

◆火災

ご存じの方も多いと思いますが、10/12にデンパサール市スウン地区にある島内最大ゴミ集積場で火災が発生し、およそ1ヶ月経った11/11時点でも完全に消火できていません。
アグン山やバトゥール山などでは自然または人為により断続的に火災が発生しています。
火災については(その2)に書きます。

◆農作物

干ばつにより、タバナン県では数十ヘクタールの米が育たず、バンリ県では多くの唐辛子やバワンメラ(赤玉ねぎ)が枯れてしまいました。唐辛子の値段は高騰しているものの、収穫に結び付かず、大きな損失となっています。一部の県では補填を考えているようですが、おおむね自己負担です。
損失を軽減するため、田植えをあえて早めたり遅らせる地域も出ています。
また、水路の維持と漏水防止など基本的な事前対策を行うよう促しています。

・BaliPost:エルニーニョ現象による収穫不作を予想 / 数十ヘクタールの米が収穫失敗 / 長引く乾季、多くの唐辛子が収穫できず

◆ダム・貯水池

島内のほぼすべてのダムや貯水池で深刻な水不足に見舞われています。
ジュンブラナ県にあるパラサリダムでは約800万㎥のうち約20万㎥しか残っておらず、底には亀裂が入りました。
カランガッサム県でも17の貯水池のうち8つが枯渇し、残り9つの危険水域となっています。
ブレレン県では2つのダムの貯水量が減少しています。

・BaliPost:ダムや貯水池が枯れ始める

今後の天気予測と対策

◆雨季のピークと降水量

BMKGデンパサールによると、「11月中旬(11/10~20頃)から雨が降りはじめ、2024年1月に雨のピークを迎えるだろう(カランガッサム県南部のみ2月ピーク)。月間降水量は500~600mmの範囲を想定。洪水、土砂災害など水文気象災害に注意が必要」とのことです。

・BaliPost:雨の降らない島内のいくつかの地域に影響、131日間を記録 / 地球は沸騰期にあり、バリ島の干ばつは35地域に広がる

月間500~600mmって少ないの?多いの?と疑問に思いまして。
調べてみたら、東京でもっとも降水量が多いのは10月で234.8mm。雨が多いと言われる沖縄や金沢さえも最大300mm程度です。軽く倍!
そのわりに地下水路が日本ほど発達していないインドネシア…。

・JICE:国土技術研究センター(日本語):意外と知らない日本の国土

◆洪水対策

毎年毎年毎年、豪雨で河川や側溝の氾濫により洪水が起こるため、乾季のうちに急ピッチで治水対策が行われています。
レギャン地区のトゥカッドマティ川は350mに渡り、浚渫(しゅんせつ=底面をさらって土砂などを除去する)土木工事を施しています。11月末までの予定です。

・BaliPost:レギャンのトゥカッドマティ川が浚渫工事

ほかにも、一般道の両脇に大きなU字溝を埋込み、そのうえに歩道を作りました。「観光客だって車移動で誰も歩かないんだから歩道なんかいらないよね」という声をたまに聞きますが、あれは排水が主な役目です。しかも冠水が起きやすいエリアは道ごと埋め立ててより高く。

レギャンのJl.Dewi Sriは大規模工事により、メインロードと歩道がググンと上がりました。
えぇ、勘の良い方はお気づきかと。道沿いにある店舗はあがってません。だって道を直しただけですから。これ、雨降ったら店内に浸水しますよね?素人考えだと浸水確定なんですが。

・BaliPost:洪水を防ぐためデウィスリ道路を高くする

以前SNSにちらっと書きましたが、Jl. Pantai Berawaも歩道が整備されました。
IMB(建築許可証)を取得していない店舗は駐車エリアやテラス席を問答無用でごっそり取られたそうです。IMBを持っていたら土地を買い取りだとか。まぁ取得していないのが悪いといえばそれまで。ただ資産なのでね、勝手に搾取するのはどうかと。

ジュンブラナ県では5月に歩道上の取り外し可能なカバーが盗まれる事件が発生しています。コンクリート製は無事。鉄製のみ12個なくなりました。

・BaliPost:鉄製カバーが消失

ちなみに、新しく作られた歩道は渋滞時にバイクが軒並み走行して、すでにブロックが壊れている箇所も。
11/12の大雨で、うちの近隣は新たにU字溝を埋めたり橋をかけたはずの場所がさっそく冠水してましたよ。
もうね、島をあげての壮大なコント…でしょうかね。

◆ゴミのポイ捨て

側溝の水があふれる大きな要因の1つにゴミのポイ捨てが挙げられます。
バイクで走っていても、前を走る人が何か食べたビニール袋をポイっと。しかもご丁寧に側溝の開いてる場所に向けて見事なイン!

これ、国民性や民度の問題もあると思うんですけどね。
先述したとおり、島内最大ゴミ集積場の火災により、ゴミの収集が全域で滞っています。よって川にポイポイ。なんなら袋ごとポイポイポイポイ。
Sungai Watch(河川クリーン活動家)」のinstagramを拝見すると、以前に増してゴミの量が増えています。川面を埋め尽くす、おびたただしい数のゴミ。
また山間部では住民によるゴミの焼却で枯葉や枯れ木に引火し、そこから山火事が発生する事態に。

◆州政府の不在

雨季の洪水の可能性を低くするため、バリ州政府は住民に対して「溝や川にゴミを絶対に捨てないよう」に警告しました。
廃棄物、特にビニール製品の不使用は州知事規則で義務付けられており、投げ捨ては恥ずべき行為だと強調しています。併せて自治体警察部隊などに監視を強化するよう要請しました。
来年2/14発効予定の外国人観光客への課税で、廃棄物を適切に処理する資金にあてるとしています。

・BaliPost:洪水を予測して、人々は川や側溝にゴミを捨てないで

だったら、政府がゴミ処理施設をさっさと作って対策すれば良いじゃん!と思いますよね。できないんですよ、今は。
なぜなら来年2月に総選挙があるからです。大統領選(pilpres)、地方首長選(pilkada)、議会選挙(pileg)が同時に行われます。
地方首長選(州知事・県知事)に立候補するためには12月の任期終了前に辞任が必要で、すでに主要な役員はやめて不在です。現在は代理人による運営。よって肝心要なことはすべて先送り。なーんにも決められません。
大統領はさすがに交代まで本人が務めます。
選挙についても(その2)に書きますね。

過去の天気はMemo Bali 天気ログ一覧でどうぞ。

両替レート:(売り)1円=Rp98.50~103

11月の平日昼間1円=Rp101~103、平日朝晩と土日祝日はRp98.50~99.75で推移しています。
過去3ヶ月と比較して、さらに円安になりました。

主要国通貨だと、ひたすら米ドルが上がって、日本円と豪ドルと下がる構図です。円は前年平均12.61%、豪ドルは6.72%の下落となっています。
先週あたり日銀が為替介入を示唆しましたが、実施されていません。円安のほうが外国人旅行者は国内で大盤振る舞いしてくれるし、トヨタやユニクロなど海外輸出も好調ですもんね。

過去のレートはMemo Bali 両替レートログ一覧でどうぞ。

ルピアは対ドルも比較的好調

インドネシアルピアは対ドルで2.34%のみ下落しました。
東南アジア圏だとマレーシアリンギットは7.82%、タイバーツは4.39%下がっているので、他国通貨よりも比較的良好といえるでしょう。

・BaliPost:ルピアの下落は他の通貨より相対的に良い

11/6に中央統計局から発表された2023年第3四半期のインドネシアの経済成長率は前年比4.94%、GDP(国内総生産額)は5,296兆ルピアでした。
世界経済の減速や気候変動、主要輸出品の価格下落の中、増加傾向にあるのは素晴らしいことだと思います。

・BaliPost:2023年第3四半期、インドネシア経済は4.94%成長

バリ州は観光業復活中、インフレ傾向

2023年第3四半期のバリ州の経済成長率は前年比5.35%。インドネシア国の経済成長率をさらに上回っています。
コロナの影響で閉ざされていた観光業が大きく回復したこと、それにともない飲食宿泊業と運輸・倉庫業も伸びていることが要因です。これらの業界は雇用も増えています。
逆に行政部門と農林水産業と教育サービス業は縮小しました。行政はコロナ関連が沈静化し、特に医療分野での支出が少なくなったためです。

一方インフレも国を上回る前年比2.56%です。
ガソリンなどの燃油をはじめ、米・唐辛子・バナナ・鶏肉・たまご・小麦粉などの食料品が値上がりしています。
経済が完全に復興していない中で、人々の購買力はまだ強くありません。全国水準を上回る上昇率は、各家庭の財布を直撃するとともに、貧富の差をますます作り出すとみられています。

・BaliPost:第3四半期のバリ島の状況、全国を上回るインフレ / 物価上昇、人々の生活が圧迫される

居住費もコロナ禍に比べると爆上がりしています。地主も家主も超ぉぉ強気!人気エリアはコロナ前と比べて2~3倍が当たり前になってきています。
日本も値上げ傾向にありますが、住民との合意がなければ成立しません。インドネシアは取り締まる法律がないんです。
ちなみに豪では家賃の引き上げが止まらず、ホームレスになったり、精神疾患にかかる方が急増しているとか。バリはそうならないといいですけども。

・Women’s Health(日本語):オーストラリアの新しいデータによると、現在苦境に陥っている人々の数が過去最多に
・Settlement Guide(日本語):家賃の高騰と共に、増え続けるホームレス

年末にむけて、さらに来年2月の総選挙に向けて、インフレが進行するものと見られています。
選挙結果いかんによっては経済ほか風向きが大きく変わるかもしれません。注視が必要ですね。

長くなったので、(その2)に続きます。
では、ごきげんよう。

2 Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です