バリ島「Bandar Udara Internasional I Gusti Ngurah Rai(ングラライ国際空港)」Memo Bali

バリ島の様子(その2)で終わらせるつもりが、いろいろ動きがありまして。
(その3)を綴りまーす。

州税や地域税の徴収開始

ねぇ奥さん、バリ州が主に外国人観光客を対象に課税を企ててますのよ。
すでに徴収を開始したものと、来年から実施予定のものがあります。

’24年1月から外国人観光客に入島税

7/12(水)バリ州ワヤンコスター知事は州議員総会で「バリ島を訪れる外国人観光客に入島税を課す」と発表しました。
’24.1/1(月)2/14(水)から実施で、1人あたりRp150,000(1円=105として約1,430円)の予定です。

◆導入の目的

2023年第15号バリ州地域規則にそって施行され、その税収は「バリの文化と自然環境の保護」のために使われます。
バリ島は世界的なリゾート地として観光客から多大な恩恵をうける一方、少なからず悪影響もあります。具体的にはゴミ処理、交通渋滞、無秩序な開発、宗教や文化の軽視など。限られた財政(主に国からの分配)の中でそれらをコントロールすることは難しく、州税として徴収したのうえで継続的に取り組む必要があるとの判断です。
実はこれまでもバリ州政府公式サイト「Love Bali」で寄付を募ってたんですよ。でもほぼ協力がなかったようで。

・BaliPost(以下インドネシア語):コスター知事、バリの文化と自然保護のため外国人観光税の徴収

「は?観光客から到着ビザ(VoA/ Visa on Arrival)代をとって、さらに入島税も二重に取るの?!」と憤慨したくなりますよね。
VoAって国税なんです。ングラライ国際空港の入国者数は相当あるのに、ほぼジャカルタへ持っていかれ納められます(もちろん必要経費はもらえる)。

コスター知事は「’23.6月末にはバリ島を訪れる観光客が200万人を超える見込み。12月末には450万人、それ以上に達するかもしれない。放置すれば、より悪化する可能性がある。この課税は来年以降の訪問数には影響が出ないと信じている。快適さを求める質の高い外国人観光客なら満足し、お互い有益なものになるだろう」と述べています。ふーん。

・BaliPost:質の高い観光の実現、知事が州議会で確固たる行動を促す
・CNN Indonesia(インドネシア語):知事は外国人観光客に入島15万ルピアの要求

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◆徴収方法

複数の記事を拝読したところ、外国人観光客海外から直接またはインドネシアの他の地域を経由してバリ島へ入域する場合に適用されます(目的地がバリ)。インドネシア人は除外です。
1回の旅行につき1回Rp150,000の納付。現金は不可、電子決済のみ(クレジットカード、デビットカード、または銀行QRコードなど)。
到着ゲート(入国審査場?)前で、支払い(確認?)となり、領収書(支払い証明ステッカー?)を出国まで保管する必要があります。

・detikbali(インドネシア語):2024年から外国人観光客はバリ島入国時に15万ルピアを支払う必要がある
・トラベルボイス(日本語):インドネシア・バリ島、1人10ドルの入島税を徴収へ

うーーーん、ツッコミどころ満載ですねぇ。
国際空港からの入国であれば確認可能ですが、国内空港や港湾だとどうやって外国人とインドネシア人を見分けるのでしょうか?パスポートチェックないですよね?出国前に各国の搭乗カウンターで納付を確認するなら別ですが。
1回の旅行って?たとえばバリに直入国して1回。そこからジャカルタなりマナドへ飛んだとして、戻ってきたらもう1回?それともすでに1回払ってるから免除?
現金不可ならワイロは防げますが、電子払いの手立てがない外国人もいますよね?少なくともVoAは現金でも払えます。
到着前ゲートで支払いや確認って?入国審査であれだけゲート数あっても大混雑で進まないのに?どんだけレーン作って対応するの?

インドネシア人から徴収しないのは仕方ないかなと。もし課税したら逆にされますから。たとえばバリ人が果物を売りに東部ジャワへ、ヒンドゥー寺院の奉納で中央ジャワへ、何らかの手続きで西のジャカルタへ…行くたびに課税されたら気の毒です。

ちなみに、The 縦割り国のインドネシアでは管轄外のことは一切しません(できません)。
入国審査は移民総局入国管理局、税関申告は税関総局、以前のワクチンチェックは保健省or新型コロナウイルス対策ユニットです。入管職員にワクチンのことを聞いたら「僕はパスポートとビザをチェックしてハンコ押すのが仕事だから」と。
となると、バリ州で職員を用意して並べるんでしょうね。慣れるまで手間取るだろうなぁ。

現時点では草案(rancangan)ですが、実現性が高いものと見られます。

‘23.7月からヌサペニダとレンボンガンの水上活動税

バリ州政府は離島ヌサペニダとレンボンガンでシュノーケルやダイビングを行う観光客に対して「水上活動税」を開始しました。
今月7/1(土)から実施で、外国人はRp100,000(約950円)、インドネシア人はRp10,000(約95円)です。

2021年第7号バリ州地域規則にそって施行され、その税収は「指定保護区の海洋資源」のために使われます。
他の地域(たとえばサヌールやヌサドゥアなど)の水上活動では徴収されません。

電子チケットが推奨されていますが、現地での電波が悪いため、おもに手動で発行されています。電波悪いのに電子…

・BaliPost:ヌサペニダとレンボンガンで徴収開始

’24年にカランガッサムの水上活動徴収が県→州に

東部カランガッサム県では、すでにシュノーケルやダイビングやラフティングを行う観光客に対して「水上活動課費」を徴収していますが、来年からはバリ州による税に変わります。
具体的にはチャンディダサ、アメッド、トランベンなどです。

さらにこれまで課税されなかったティルタガンガ庭園、ランプヤン寺院なども徴収対象になる予定です。
金額は明示されていません。

・BaliPost:来年シュノーケリングとダイビングの収入が税収に変わる

’22年9月からキンタマーニは交通料を徴収

バンリ県キンタマーニ高原のペネロカン道路でも、コロナ中に停止されていた交通料の支払いが続いています。この徴収は州ではなく、県になります。
車両ごとでなく、乗車人数で計算。1人あたり、外国人の大人Rp50,000(約480円)子供Rp30,000(約290円)、インドネシア人の大人Rp20,000(約190円)子供Rp15,000(約145円)、バリ人の大人Rp10,000(約95円)子供Rp5,000(約48円)です。インドネシア人とバリ人ってどうやって見分けるんでしょうか?申告制だな、たぶん。

・BaliPost:ペネロカン-クディサンで徴収ルート再開

なお、ペネロカンは観光の通行を優先し、4tを超えるトラックは迂回してチュラリを通るよう誘導標識が出ています。チュラリルートは斜度もカーブもきつく、砂などを満載した大型車にとって横転する可能性があるため、警察官がいない時間帯はペネロカンを強引に通るトラックが後を絶ちません。

・BaliPost:依然反抗的、砂を輸送するトラックがペネロカンを通行しないよう警告キンタマーニ観光の流出を防ぐため警察官が監視

クタビーチ入場料徴収に向けて、一部入口閉鎖

クタ伝統村はバドゥン県知事および県政府の協力と、企業の協賛や個人の寄付を得て、クタビーチの整備を行いました。これによりビーチが観光地として認められ、入場料を徴収できるようになります。

当初の予定は、外国人Rp15,000(約145円)、インドネシア人Rp10,000(約95円)、子供Rp5,000(約48円)、4歳以下は無料。実際はいくらかはわかりません。

・BaliPost:クタビーチが徴収の対象となり、6ヶ所からエントリー

この徴収計画にともない、31ヶ所あった入口を18ヶ所まで約半減させることになりました。一部の物売りが閉鎖に反対して苦情の横断幕を掲げましたが、すぐに撤去されました。

・BaliPost:クタビーチのアクセス削減に抗議、宛先が間違っている

渋滞解消につながる道路整備

先ほど「The 縦割り国のインドネシアでは管轄外のことは一切しません(できません)」と書きましたが、州内の道路もそれぞれ管轄があります。
おもに有料高速やバイパスは国道、大通りは州道または県道、その下は村道、さらに私道など。それぞれが費用を負担しているため、道路の陥没や損傷、路肩の崩壊などは勝手に修理できません。また、道路整備の費用は他の用途に転用できません。

連日大渋滞のJl.Raya Cangguは州道です。
特に作りが悪いJl. Raya PadonanとJl. Pantai Berawaのクランク(ґ)を直線で斜めにつなげば少しは緩和されるでしょう。しかし、デサ(村)→バドゥン県→バリ州に提言して、工事予算を出してもらうしか方法がないのです。
州は他の道路整備を優先しているので(G7のためにヌサドゥアとか)、当分このままでしょうね。

・BaliPost:ティブブネンの交通渋滞を克服するために、バドゥン県政府はパドナン交差点を整備を手配予定

デサを繋ぐ道の必要性

そもそもJl.Raya Cangguに車が集中し、ほかに迂回路がないことが問題です。
でもね、デサ同士を繋ぐ道は、デサのバリ人からしたら不要なんです。だって自分たちの行動範囲はデサ内で済むんだもの。
かつてバリ人女性は「自分のデサから出たことがない」というほど行動範囲が狭いものでした。今は活動的な方がたくさんいますが。

バイクの抜け道となっている複数のショートカット、かつては田んぼのあぜ道でした。
農民が厚意または自分たちが通るために広くしたら、そこをバイクが頻繁に通るようになり、車で強引に通る人も現れ、あちこちで落ちまくり。それがSNSにアップされて拡散。
結果デサの費用負担により、田んぼの一部を買い取って、やや広めの道に舗装しました。そして、周囲も埋め立てられて田んぼがなくなり…(涙)

外国人に対する通達や課税に至る背景

誰のためのバリ島か考える

5/5(金)行われた”今後100年のバリ発展草案”のキックオフで、メガワティ元大統領はこう発言しました。
「次の100年、バリのロードマップをどう描きたい?私はバリ島のアイデンティティを取り戻すべきだと考える。かつては自然にあふれ、田んぼが広がり、ガムランの音色が聞こえた。
今は慣習や文化に従わない外国人に振り回されている。反外国人ではないけれど、その国やその場所のマナーに敬意を示すべき。まずはバリ人が幸せになり、習慣や文化を維持できなければほかの観光地と同じになってしまう」と。

・BaliPost:メガワティは観光業のせいでバリが浸食されることを懸念バリ島の人々の繁栄を願うメガワティはホテル建設と肥沃な土地の転用をやめるよう要請

このメガワティ元大統領の熱弁は、バリのリーダーたちに高く評価されました。
バリ州知事をはじめ、州議院議長、教育財団理事、ISI学長、ワルマデワ大学長、バリヒンドゥー教会長、伝統村村議会など多くの面々が称賛。今後の方向性を決める1つの指針となりました。

・BaliPost:ありがとうメガワティ土地の転換を見据えた100年のバリの方向性バリの発展と自然の調和

北部空港の建設は暫定中止

毎年バリ州政府からインドネシア政府へ提案していた「北部ブレレンの第2空港建設」ですが、今年も予算に組み込まれませんでした。
コスター知事からは「やめるわけではない。先送り」、ジョコウィ大統領からも「首都移転や他州の空港建設で予算が確保できないから」と。

これに対して、メガワティ元大統領は「北部空港の建設には真っ先に抗議と反対する。なぜなら、空港は中級以上の人にしか恩恵がない。バリ庶民のためにならない。高級ホテルの乱立もこれ以上必要なのか考えるべき。建設許可を厳格化したほうが良い。多くのホテルはバリに貢献しているといえない」と。

ええええ??おっしゃってることはごもっともですけど。
ただ、現時点では南部と中部の一部に観光客が集中し、他県とは経済格差が大きいんですよね。それを緩和させる目的もあり、前バリ州知事マンクーパスティカ氏から2代にわたる悲願のはず。
ブレレンの祖母を持つメガワティ元大統領もかつては賛成してたような…。

個人的な感想

一連の流れに対して思うのは、目先の利益にとらわれると全体運を落とすんだなぁと。
派手なアクションや露出過多で捕まった外国人たち。これまでもこのような行動はあったのかもしれませんが、映えやバズりを狙ってSNSで拡散したことでより鮮明になってしまいました。そして、これらの積み重ねにより、規制が厳しくなっています。
自分中心で他の迷惑を考えずに動くと、別の形でしっぺ返しを食らうんですね。

「課税が増えるなら、バリじゃないリゾート地へ行く」という決断を下す外国人もいるでしょう。それはそれでありですよね。ご自身のお金と時間ですから。
いつだかオージーが一斉にそっぽ向いたら、バリ州政府は焦って調整しましたし。
やってみて、お互いの落としどころを見つけるべきかと。

「バリ州が長い目でみて、バリ人にとっての幸せを優先に考える」
この選択をすることで、バリ島の未来は確実に変わってきます。それは楽しみでもあり、少し怖さもあります。どうなるか見守りたいと思います。

追記

あれから考えたんですが…
入島税がはじまると、外国人観光客1人当たり到着ビザ(VoA)Rp500,000+入島税Rp150,000=Rp650,000(約6,200円)の負担。
1家族4人ではRp650,000×4=Rp2,600,000(約25,000円)もかかってしまいます。
さすがにファミリー層は渡航を躊躇するんじゃないかと。

◆ビザ免除再開希望

日本は「相互主義の原則に基づいてビザの免除」を行っています。
インドネシアが日本人をビザ免除(BVK)から外して到着ビザ(VoA)の対象にするなら、日本もインドネシア人の短期滞在(2週間)のビザ免除措置を解除すべきでしょう。
よって、日本人も2週間以内なら免除にしてもらいたいです。

・外務省:ビザ免除対象国外交・公用旅券所持者に対する外交・公用ビザ免除国 ←ここに「相互主義」って

◆ごみ処理施設の建設

州内のごみ問題に関しては、地方税が貯まるまで気長に待つわけにはいかない状況です。
日本のODA(政府開発援助)または民間企業の協力をうけて処理施設をさっさと作るほうが良いかと。その際はプラスチックも燃やせるタイプに。
もちろんレジ袋をはじめとしたプラゴミの削減は続けつつ。

◆課税の減額

上記を行ったうえで、「文化と自然環境の保護」を目的に1人Rp100,000(約950円)程度であれば負担が少なくて済みます。日本も「国際観光旅客税」として1,000円徴収してますから。
家族単位の支払いのほうがよりファミリー層にはありがたいものの、どこまで家族をみなすか、その書類はどうするかなどの問題がありますから(中国は団体が多いし、韓国は同姓が多い)、1人あたりがベターでしょう。

いかがでしょうか?(誰に問うてるんだ?w)


以上いろいろな動きの追加でございました。
では、ごきげんよう。

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