伝統楽器ガムラン好きにたまらない♪オゴオゴ

伝統芸能・宗教(舞踊・楽器・寺院)

突然ですが、ここで問題です。
さて、あてくしは日本とバリ島どちらにいるでしょうか?
(初対面の方に「いくつに見えます?」と訊くぐらいウザいですね)
答えはバリ島!
どうしてもバリヒンドゥ・サカ暦の新年ニュピを現地で迎えたくて、もろもろ振り切って渡航しました。
おかげで残務が・・・ほら、あれですよ。有休消化しないといけないお父さんが家族連れで海外へ行ったものの、日本からのメールや電話が途切れず、ホテルに1人缶詰め状態みたいな。社内に残された方々は矢面に立ってもっと大変でしょうけど。
出発の前々日舞踊レッスンに行ったら、クラスメイトから「なんでわざわざニュピに行くんですか?」「旅行者も外出禁止なんですよね?」「つまらないって話しか聞きませんけど」と口々に言われました。
いや、あの、その。ニュピ前後が一年で一番好きなんですぅ♡
この時期この島でしか味わえない感動がたくさんあるんですぅぅ。
新年ニュピについては「静寂の日に、寺院へ参拝」、大晦日は「オゴオゴは続くよ、どこまでも?!」に去年詳しく書きました。お時間があればご一読ください。
同じことを書いてもつまらないので、今年は視点を変えて「オゴオゴの伝統楽器ガムランに興奮する」の巻。
バリ島 オゴオゴ

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到着した日は、ニュピ前に海でご神体を浄めるムラスティでした。
朝からバンジャール(村組織/町内会)の人々が集まり、行列をなして寺院から海へ向かいます。おかげで道は大渋滞。バリ島は常に祭事が優先ですから。
3年前クロボカン地区オベロイ通りにあるイタリアンでランチをしていたらムラスティの行列を見かけました。道いっぱいに次ぎから次へと。その後、バイク組は裏道を抜けてサッサと帰宅できたのですが、車組はどうにも動けず普段40分程度の距離をなんと5時間かけて帰ったそうです。途中でまたピザを買って食べたとか。
あてくしは今回夕方着だったのでムラスティはすでに終了。渋滞もほぼ解消されてスムーズに移動できました。
このムラスティあたりから、田舎へ帰省するバリ人と他島へ脱出するジャワ人などの大移動が始まります。大衆食堂や雑貨屋などポツポツ閉店。ダルン地区は新興住宅地のせいか特にシャッター街になってました。よく行くランドリーも閉まっちゃいましたし。
大きなスーパーやホームセンター、観光客向けのレストランはまだ営業してます。
前々日はニュピのために食料品を買い込む人々でスーパーや市場は大賑わい。
本来ニュピは「静寂の日」で、火や電気は使わず、断食・・・のはずが「1日でどんだけ食べるつもりなんだYO!」とツッコミたくなるほど、みなさん大きな買い物袋を抱えていました。近所のスーパーは特設レジを増設。普段の倍以上の売上なんだろうなぁ。
大晦日は午前中いっぱい、遅くとも午後3時までにほぼ閉店します。観光客向けのレストランもスタッフがいないのでクローズ。食べられるお店を探すのが本当に大変になります。ホテルやヴィラは営業してますが、スタッフは半減。
夜にはオゴオゴと呼ばれる悪霊をモチーフにした張りぼての神輿が街を練り歩き、交差点が封鎖されるので移動が難しくなります。その前に閉めて帰らないとね。
夕方には各家庭で聖水と松明の火を使って家中の悪霊をあぶり出し、鍋の底などをガンガン打ち鳴らして追い祓います。
えぇ、たしかに不便っちゃ不便です。観光客がわざわざこの日を選んで来なくても良いかもしれません。
でもでも、この大イベントに向けたソワソワ感とワクワク感は現地にいないと味わえないんです。あてくしは不便さよりも楽しさのほうが断然大きいんです!(人による)
大晦日の夜は、お待ちかねのオゴオゴ。
今年もデサ(村落)・クロボカンカジャ地区で見ました。ラヤクロボカン通りとラヤチャングー通りの交差点です。
引き廻しは夜8時ぐらいからスタートします。沿道にはすでに人とバイクがいっぱい。
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
キターーーー!
8時10分ごろ、第1弾のバンジャール(村組織/町内会)がやってきました。
そのデサ(村落)に属するバンジャール単位で出陣します。
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
松明を持った女性たちに続いて、真打のオゴオゴ登場。
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
順番が来るまで待機し、司会からバンジャール名を呼ばれたら出番。
真ん中に祠のある交差点を大きくぐるりと2周します。
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
写真わかりにくいですか?すみません。人出がすごくて。
ほかにもこんなオゴオゴたちが続々と。
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
いろいろなモチーフがありつつ、ガネーシャ(象顔の神様)やクリシュナ(青い顔の子供の神様)が出てくると歓声があがってました。人気の神様なんですね。
わりとウケていた(失笑を買っていた?)のはこちら。
おじいちゃんとミニスカギャル悪霊。うしろ姿はパンツちら見せ。個人的に嫌いじゃないです。むしろ好物。
バリ島 オゴオゴ
毎年クロボカンカジャで一番大きくて豪華なのはバンジャール・アニャールカジャの作品。
バリブッダ、カフェモカ、ザ・プラマーズ アームズなど人気のレストランが軒を連ねる一帯です。
バリ島 オゴオゴ
レストランやヴィラ、外国人居住者の多いエリアは協賛がついて盛大にできるそうです。
そういう意味ではクタ地区は豪華絢爛。ホテルやショッピングモールだらけですもんね。1体10万円どころではなく、30万円以上のも出るとか(ホントか?!)。
お隣のクロボカンクロッドも協賛が多そうです。オベロイ通りやプティトゥンゲッ通りは有名なヴィラやレストランばかりですから。オゴオゴの前には舞踊とガムランショーが開催されて盛り上がったとか。その地区のバリ人から「渡航してたなら声かけたのに」と言われました。事前にお伝えせずすみません。
そもそも、バンジャールがある程度大きくて、制作できるヒマな方々がいないと作れません。
デンパサール地区は1つのバンジャールに学校数校分の人が属しているので凝ったものが出来るそうです。
まだウブド地区はアーティストが多く、手の込んだ素晴らしいデザインが多いんだとか。
大きいオゴオゴはこうして竹の棒で電線を押し上げて通ります。
日本じゃありえないですよねぇ。
バリ島 オゴオゴ
実際オゴオゴが動いてる様子は超ショート動画でお楽しみください。[広告] VPS
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で、ガムランファンの皆様、お待たせしました。
長ーーーーい前置きの末に、やっと本題です。
去年も書きましたが、ニュピには「悪霊を大晦日に追い祓い、元日仕返しにきたけれど、島内は静まり返って人の気配もなく退散」というストーリーがあります。よって、追い祓う大晦日は賑やかにしないといけないわけですよ。
普段は舞踊のBGMのように扱われている、いや、舞踊が引き立つように美しい強弱をつけて奏でるガムランが、ここぞとばかりに主張できる数少ない日といえます。
ガベン(お葬式)も舞踊はありませんが、どちらかといえば強じゃなくて弱ですもんね。
オゴオゴではこれでもか!というほど大音量かつドヤ顔で演奏します。聴いてるほうもお腹の底からじわじわとパワーをもらう感じ。
実際、ガムランには20kHzを上回る人間には聞こえない高周波が含まれていて、聴いているうちに快感を引き起こすと脳科学で実証されています。
JT生計誌研究所「バリ島・ガムランの秘密」
質感脳情報学 (pdf内を「ガムラン」で検索すると出てきます)
ガムランボールの説明にも「高周波」と書かれていることがありますが、ガムランとガムランボールは別物。ボールのほうはまだ確認されてないようです(可能性として「ない」とはいえません)。
オゴオゴのガムランは座った状態の演奏ではないため、鍵盤楽器のウガールやガンサはありません。
各楽器の詳細については下記をご覧ください。
ガムラン スカルジュプン
音の森
歩きながらガンサのコテカン・・・さすがに無理っすよねぇ。
オゴオゴでは打楽器のクンダン(太鼓)やチェンチェン(シンバル)がメインです。
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
写真がブレブレですみません。暗いのに動きが速くて。
演奏人数によって編成が変わります。そもそも人手が足りないところはCDかテープ、もしくは無音。
豪華なバンジャールはレヨン(コブのついた丸釜)がいて、音に深みと幅が出ます。1人が2つずつ持ってる場合もあれば、横一列に並んで3~4人で連弾することもあります。
バリ島 オゴオゴ バリ島 オゴオゴ
ゴング(ドラ)は叩く人と別に、タイヤのついた台座を押す人がいるんだZE!押すほうなら出来そうだZE!
バリ島 オゴオゴ
通常は雄と雌の2台を1対として奏でるクンダン(太鼓)では、なんと8台編成も!こんな大人数、初めて見ました。
アナウンスで「バンジャールクンダン」と紹介されてましたよ。音は2パートに分かれて連打。
バリ島 オゴオゴ
こちらは竹ガムラン。ティンクリッと呼ぶのかしら?さすがにジェゴグじゃないですよね?
バリ島 オゴオゴ
若者が多くて勢いのあるキレッキレな演奏もあれば、おじさまたちの深みがあるしっとりとした演奏もあり、練習を重ねてステップや歌まで入れてるもの、「えっと練習しましたか?」と問いたくなるぶっつけ本番ぽいものも。
コンテストではなく宗教行事なので、技術うんぬんより気持ちで勝負なのでしょうか?それもまた面白かったです。
お前の文章より、肝心の音が聴きたいって?
そりゃぁそうでーすーよーねーーー。
まずはオゴオゴに合せたガムランの動画。以下、毎度のことながらすべて短いです。[広告] VPS
珍しいヒーリングベルによる演奏。ちょっと幻想的。[広告] VPS
クンダン(太鼓)の大人数バージョン。[広告] VPS
唯一、スリン(笛)がいたバンジャール。個人的にこのピーヒョロ音が好きです。[広告] VPS
スリンって難しいんですよ(どれも難しいけど)。呼吸で音が停止しないよう、鼻で吸いながら口から出して吹きます。「ストローで練習しなさい」と言われたのに、そういえばしてないや。
チェンチェン(シンバル)とクンプール?またはレヨン?の対決。[広告] VPS
ステップあり、歌ありのバンジャール。一番演奏が長くて上手かったです。相当練習したんでしょうね。[広告] VPS
残念ながら動画では本来の半分も伝わらないと思います。
この熱気と湿度と匂いが合わさってこそですから。
ガムラン好きでオゴオゴ未体験の方は、1度ぜひ生演奏を味わいにいらしてくださ~い♪
ちなみにニュピは毎年変わります。今年は3月9日でしたが、来年2017年は3月28日、2018年は3月17日だそうです(たぶん)。必ず新月です。
撮影した中でマイベストショット。ガルーダと少年。
バリ島 オゴオゴ
小さい頃から宗教行事に馴染んでるんですねー。

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