【’20.5月中旬】コロナウイルス感染状況と政策(その3)

バリ島の近況

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大にともなうロックダウンや緊急事態宣言が、世界各国で解除または緩和されつつありますね。
感染源とされる中国の武漢をはじめ、韓国、ベトナム、アメリカ、ドイツ、イギリス、デンマーク、オーストリア、ギリシャなど。
日本も5/14(木)に39県で解除されました(愛知のみ条件付き。特定警戒の8都道府県は継続)。
バリ島はどうかというと…
州や県の対策および現状について、主に現地ニュースサイトBaliPost(バリポスト)在インドネシア日本国大使館在デンパサール日本国総領事館からのお知らせなどをもとにまとめていきます。
毎度のことながら、あてくしが取材して回ったわけじゃないので(むしろ家から出ない日も多い)、各県の実情はわかりかねますし、エリアによってかなり差があるでしょう。また、すべての情報を網羅しているわけではありません。日々刻々と変化していますので、最新版や詳細は必ず各自でご確認ください。

バリ州の感染状況と新たな措置

バリ州では、新たな陽性患者数が連日ほぼ1桁台で微増しているものの、感染者に対する死亡率は1.3%と非常に低くく、治癒率は65%を超えました。
現在この数値はインドネシア国内で最高位にあり、世界平均と比べても優れています。中央政府やジョコウィ大統領から賞賛され、バリの人々からも高い評価を得ました。
・BaliPost(インドネシア語):2 Bulan Wabah COVID-19, Gubernur Bali Beberkan Langkah Penanganan yang Tuai Pujian dari Presiden(COVID-19開始の2ヶ月間で、バリ州知事が大統領から称賛される対応策が明らかに)
・BaliPost:Persentase Kesembuhan Tertinggi Nasional dan Internasional, Gubernur Koster Apresiasi dan Beri Insentif Tenaga Medis(国内最高かつ国際的な治癒率、コスター州知事は医療関係者に感謝し、インセンティブを明言)
にもかかわらず、バリ州の緊急事態宣言は継続され、
5/15(金)からデンパサール市で新たな社会活動制限がはっじまるよ~!
なんで今さら?と思ったんですが、内容を読んで納得。制限の詳細は後述します。
また、州知事は「5月末までにCOVID-19のゼロを目指す」と宣言しました。
・BaliPost:Targetkan “Zero” COVID-19 Akhir Mei di Bali, Ini Upayanya(COVID-19「ゼロ」を目標とする5月末のバリ島、これが取り組み)
計画通りに行われれば、パンデミック(流行)が抑制されて、観光と経済の回復プログラムなど新たなステップへ進めるでしょう。あくまで目標ですが、出口が示されたことで、先の見えない不安は少し軽減されると思います。
みなさん、頑張りましょう☆
なお、インドネシア国内の感染状況は、BNPB(国家防災庁)の分布データで毎日掲載されています。
・BNPB(インドネシア語):Situasi Virus Corona
バリ州のみの感染状況は、州政府の分布データをご覧ください。
・Pemerintah Provinsi Bali(インドネシア語):Peta Penyebaran COVID-19

←↑みなさまのクリックに感謝です

バリ州の措置区分

「バリ島ってロックダウンしてるよね?なのにデンパサールはもっと厳しくなるの?」と聞かれました。
繰 り 返 し ま す が、
バリ州ではロックダウンも大規模社会制限(PSBB)も発令されていませんし、実施の予定もありません
でも、似たようことはやっています。
インドネシアとバリ州の主な措置区分を書き出してみました(たぶんこれ)。

1)ロックダウン(Lockdown)

・「都市封鎖」を意味する言葉
・主に国や州単位で実施。中国の武漢、アメリカのニューヨーク州やカリフォルニア州、インド、イタリア、フランスなど
インドネシア国内およびバリ州では実施していない
・住民の外出禁止、道路封鎖、公共交通機関の停止、学校休校、生活必需品以外の店舗休業、施設の閉鎖など
・国によって散歩や短時間の運動可、イートイン不可・持ち帰り可など
・罰則をともなう強制力のある強硬な措置

2)緊急事態宣言/緊急対応ステータス(Status Tertentu Darurat Bencana COVID-19)

・ジョコウィ大統領の声明によりインドネシア全土で実施
バリ州は3/16(月)より開始。延長を重ね、現在も継続中。暫定5/31(日)まで
・在宅学習(休校/オンライン学習)、一部公務員の在宅勤務(公共サービスは優先)、自宅での信仰、宗教行事等の延期、不要不急の外出自粛、社会的距離の保持
・空港や港湾のセキュリティ強化、公立や民間の娯楽公共施設の閉鎖、観光施設やナイトクラブ等の休業、娯楽活動の延期や中止
・手洗い励行、マスク着用推奨、身体接触を避ける
・警察、軍隊、プチャラン(村の警備員)によるサポート
・要請および指示で強制力はない
・在デンパサール日本国総領事館:総20第21号(新型コロナウイルス拡大防止に向けてのジョコウィ大統領声明等メッセージ(3月15日))
要請や指示といえど、そこはバリ州。日本ほど緩くないYO!
しっかりきっちり守られてます。なぜなら、バリ人の気質がそうだからです。
・詳細:Memo Bali Blog 【バリ島】4~5月:コロナウイルス感染状況と政策(その2)>バリ人気質からみる感染の特徴

3)大規模な社会的制限(PSBB/Pembatasan Sosial Berskala Besar)

・インドネシア政府により感染者が爆発的に増加している州や地域を指定
・ジャカルタ首都特別州の4/10(金)を皮切りに、現在4州72地区で実施。延長を重ね、現在も継続中
バリ州では実施していない
・2)に加え、より厳格な活動制限
・公共施設の閉鎖、5人以上の集会不可、事業は8つの分野を除き停止、公共交通機関の乗客数や運行制限、私有車両の乗車数制限
・飲食は持ち帰りまたは配達のみ、配車アプリは物の運搬のみ
・警察と軍隊による規制と監視
・罰則あり。違反者には刑事制裁(最大1年の投獄または1億ルピアの罰金)
・詳細:Memo Bali Blog 【インドネシア】4月上旬:コロナウイルス感染状況と政策>ジャカルタ「大規模社会制限」実施中
PSBB実施地域では、新たな陽性患者が減少している一方、増加し続けているエリアもあります。
・BaliPost:Soal PSBB, Ini Kata Presiden Jokowi(PSBBについて、ジョコウィ大統領)
ウイルスは細菌と違って自力で増殖できないので、ヒトからヒトへの感染が続いているものとみられます。
ジャカルタ州や西ジャワ州は人口密度が高く、社会的距離の保持が難しいこともありますが、とにかく動かず人にうつさないことが大事です。

4)社会活動制限(PKM/Pembatasan Kegiatan Masyarakat)

・デンパサール市長の指示により市の管理委員会が計画立案のうえ実施。州知事が承認
・カブパテン(県・市)単位で実施
・今回はデンパサール市のみ5/15(金)~6/14(日)の1ヶ月間を予定
・2)に加え、より厳格な活動制限
・デンパサール出入口各付近に検問所を全1116ヶ所設置。監視時間は午前7時~午後10時
・身分証の提示、通行目的の明言、体温検査、マスクチェック(初回はマスク提供)
・交通は物流・通勤・消防や法の執行等の公務等を除き制限
・マスクなしの乗車、目的のないドライブ、乗車人数の多い四輪車や貨物車等の通行禁止
・島外の長距離運転手は迅速抗原検査(ラピッドテスト)を実施
・他島や他県からの無法な移動・居住・無許可営業を制限
・大人数の集まり、長時間営業の禁止、道端でのトラック販売の禁止
・公務員や民間従業員は事前に証明書を発行
・警察、軍隊、コロナウィルス対策班、保健局の共同チームによる規制と監視
・罰則はないが、該当者以外は進入不可(追い返される)。違反者は営業停止または中止処分など
・在デンパサール日本国総領事館:総20第65号(新型コロナウイルスに係るデンパサール市長規則(社会活動制限))
※5/19追記:罰則と総領事館の詳細をリンクしました。
感染者が減少している今、なぜ1ヶ月間も実施するのか疑問でした。
デンパサール市はたしかに陽性患者が州内でもっとも多く、インドネシア国籍の死亡者2人も同市在住です。バリ州のCOVID-19タスクフォースがデンパサール出身ということもあり、局所感染を含め抑制する必要があります。
それに加え、現在も市内に活気があるからか物価が安いからか、他島や他県から人が集まり続けています。コス(アパート)に複数で住み始めたり、道端にトラックを停めて無許可営業したり、ラマダン向けと思われるワルンは時間規制を無視して早朝や深夜営業。
デンパサール市民にも不景気の波が押し寄せ、売上の大幅な減少、解雇・一時休業が増加中で、無法化している状態に不平不満が出ています。そりゃ市場で場所代払ってる物売りからしたら、道で安く野菜や果物を売られたらかなわないですよね。
デンパサール市内には官公庁や病院が多く、そこで勤務する人たちに支障や不利益が出ないよう、事前に証明書の発行等を行い、準備期間をもって施行するそうです。
・BaliPost:Selama Wabah COVID-19, Ini Temuan Polresta di Lapangan(COVID-19流行中、現場で警察官の発見)
・BaliPost:Cegah Tranmisi Lokal, Ubung Sidak Rumah Kos(地域感染防止でウブン地区のアパートをチェック)
・BaliPost:Pantau Pintu Masuk Denpasar, Dishub Lakukan “Rapid Test” Pengendara(デンパサールの入口を監視、「迅速テスト」をドライバーに実行)

5)強制隔離(Karantina)

・バリ州と県のCOVID-19タスクフォース(任務組織)により局所感染が発生している地域を指定
・感染範囲によりクルラハン(区)、デサ(村)、デサアダット(慣習村評議会)、バンジャール(村落共同体/町内会)などの単位で実施
・2)に加え、より厳格な活動制限
・住民の外出制限(一部禁止)、村外への外出禁止、他村民や観光客の往来禁止
・食事提供または食料品の事前配布
・期間は14日間程度。終了時に陽性患者が減れば制限解除
・警察、軍隊、プチャラン(村の警備員)による規制と監視
・罰則あり。違反者はさらなる隔離または統監
・詳細:Memo Bali Blog 【バリ島】4~5月:コロナウイルス感染状況と政策(その2)>バリ州感染者の内訳

6)自主隔離(Isolasi)

・感染防止策の一環で自主的に行われる
・主にデサアダット単位で実施
・2)に加え、やや厳格な移動制限
・外部からの立入禁止、業者の納品禁止など
・エリア内での移動は可能。ホテルやレストランは村内ゲストや住民のみ提供可
・期間は3日間程度
・プチャランによる規制と監視
・罰則はないが、往来不可(追い返される)
・詳細:Memo Bali Blog 【バリ島】4~5月:コロナウイルス感染状況と政策(その2)>バリ州感染者の内訳

7)宗教隔離(Nyepi Sipeng)

・デサアダットとインドネシア・ヒンドゥー教協会(PHDI)が推奨
・主にデサアダット単位で実施
・宗教色が強く、ヒンドゥー教徒とその家族のみ。他宗教徒や観光客は適用外
・感染の有無にかかわらず、一切の活動を停止。外出禁止(ニュピ同様)
・TVやインターネットの利用、電気や火の扱いは可
・満月や新月などヒンドゥー教にとって大切な日に行われる
・期間は1日程度
・プチャランによる規制と監視
・罰則はないが、破る人はいない(無言の圧力)

8)自主ルール

・デサ、デサアダット、バンジャールなどの単位で実施
・夜間の道路封鎖や外出可能時間の設定(犯罪防止目的)
・営業時間短縮、混雑緩和の指示、マスク着用など
・期間の指定はない
・プチャランによる規制と監視
・エリアによって罰則(罰ゲーム?)あり。違反者は米の納入、腕立て伏せ、ダンス、道路清掃、動画撮影に応じるなど
規模や範囲でみると、1.ロックダウン=2.緊急事態宣言>3.大規模な社会的制限>4.社会活動制限>5.強制隔離≧6.自主隔離=7.宗教隔離>8.自主ルールの順。
強制力や活動抑制でみると、1.ロックダウン=5.強制隔離≧7.宗教隔離>3.大規模な社会的制限≧6.自主隔離>8.自主ルール>4.社会活動制限>2.緊急事態宣言の順だと思うのですが、いかがでしょうか?
次回以降これらの措置による「経済への影響」や「支援状況」について書きます(たぶん)。
では、ごきげんよう。

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